東京司法書士会三多摩支会
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 支会ニュース「アダージョマエストーソ」 第114号 201212,07

 ■ 目 次
  1. 三士会、恒例の秋のハイキング、のんびりゆったりハイキングのつもりが結構な登山でした
  2. 全国一斉無料相談会、成年後見精度講演会・相談会を八王子で開催
  3. 読書感想 戸塚らばお著『涙垰』 石見銀山の銀銅搬送に借り出される農民の苦役と愁訴

 平成24年11月11日(日) 三士会、秋のハイキング チンタラのつもりがドッコイ疲労困憊

 三士会恒例の秋のハイキングが、午後からは雨の天気予報の11月11日の日曜日に行われた。
 例年だと、弁護士・税理士・司法書士それぞれ6〜9名ぐらいの参加があるのだが、今年は、事前に案内されたハイキングの行程があまりにちょろい散策程度だと思われてアホらしいと思われたか、 いやまた昨年のように超長距離だととんでもないことになると思われたか真相は定かではないが、税理士の参加はゼロ人だった。ということで、 なんの疑問も感じず馳せ散じた弁護士は6名、司法

七代の滝に向かってひたすら下る
書士は5名という顔ぶれが立川駅ホームに集合したのであった。
 行程はなんてことはない、山麓(407m)から御岳山ケーブルカーで山頂駅(831m)まで登り、あとは山頂神社を目指して舗装された参道を標高929mにある御嶽神社の石段を目指す。そう今日は神社の石段までで、神社は参拝しません。石段の途中(880m)から左に折れて 、ここからやっと土のままの山道になり、長尾平(875m)を経て、綾広の滝(アヤヒロノタキ、860m、落差10m)下流の通称ロックガーデンと名づけられた渓流の散策道を少し歩いてUターンして下山というのが今日の予定行程だったのだ。
 が、しかし、長尾平で休憩したあと、散策コースの平面図を眺めて、ぐるっと回れるじゃん、んじゃついでに七代の滝(ナナヨノタキ)を回って帰ろうよと、安易にコース変更したのだった。
 で、長尾平で休憩の後、ここからまずは七代の滝目指し、一気に急降下。滝といえば水流があるところにあるのであるからして、平らな尾根の上に あるわけがない。下降してみないと滝があるわけないというのは当たり前と言えば当たり前の当然のこと。
 ところが下っても下っても滝に出くわさない。それどころか水流の音さえ聞こえない。こんなに下ったら、登り返しが大変だな〜と嫌

七代の滝中断の広場から

ロックガーデンのそぞろ歩き
気がさしてきた頃、やっと七代の滝の中段に辿り着いた。標高は660mだ。約200mも下ってしまった。七代の滝は大小8つの滝が連なり、全体で落差50m、降り立った広場から見える滝は下から4つ目の滝だそうだ。全体は見渡せない。
 各自滝を鑑賞したあとは、次はいよいよロックガーデンを目指す。ところが、ここまで急降下したのだから当然なのだが、ロックガーデンを目指す道は、ズズ〜ッと鉄梯子の急登なのだ。もう腿がパンパン、痙攣がきそうになっても下からは人波が続くは、 上からは早く上がってくれと降るハイカーがじれてるはで、一息も入れないで一気
に150mぐらい登らなくてはならないのだ。
 大汗かいて登りきったところに天狗岩が鎮座して、ここからは比較的なだらかなロックガーデンとなる。穏やかに流れる沢を眺めながら、また流れを飛石伝いに渡りながらのんびり歩き、休憩場を過ぎると予定の地・綾広の滝があった。滝の手前には鳥居が建ち、 注連縄が施されている。ここは御嶽神社の滝行の場となっている。
 記念写真を撮った後は少し登って鍋割山を巻いている縦走路に合流し、ほとんど等高線沿いに長尾平に向かうと、途中御嶽神社奥の院(1077m)からの縦走路と合わさる。長尾平に戻り神社参道を

綾広の滝
下って、これまたケーブルカーで下り、バスで御岳駅まで戻った。
 これで今日のイベントが終わったわけではない。いよいよこれからが今日の散策の後半核心部。多摩川本流まで降って、川沿いに造られている遊歩道をひとつ下流のJR沢井駅まで歩くのだ。川ではカヤックの練習をしている人たちでにぎわっていた。 散策道最後、駅に上がるちょうどいい位置に澤乃井園清流ガーデンがあった。あったというよりも、ここを目指すコース設定になっていたのだね、今日のハイキングは。
 ここで、弁護士が1人、現地集合とか何とか言って、1時間以上も前から一杯やっていた。 予定に入ってなかった七代の滝まで行ったので、ちょうど1時間ぐらい予定時間をオーバーしていたのだ。 歩行距離はなんと10km、ともあれ全員無事にここに辿り着き、美酒で乾杯! 雨に降られながら飲み続けた。     (HP編集室)  →上へ

 平成24年11月14日(水) 成年後見対策委員会が八王子市で公演

 平成24年11月24日(水)午後1時30分から、ちょっぴり寒いながらも快晴に恵まれた日、八王子市の生涯学習センター(クリエイトホール)で、東京司法書士会三多摩支会成年後見対策委員会のメンバーが
寸劇「成子と後見物語」を演じました。
 この日は、八王子市社会福祉協議会主催、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート東京支部共催による成年後見制度講演会・相談会(全国一斉無料相談会)で演じられたものです。
 寸劇の内容は、親、夫の認知症による成年後見制度の利用や、主人公自身の将来のための任意後見制度の利用・遺言など、成年後見制度がわかり易く解説され
ていました。観劇(参加)された約30名の方々にはクイズに積極的に参加して頂き、また演出効果により途中で笑いが何度かおこるなど楽しい雰囲気の公演でした。役者の皆様、大変お疲れさまでした。
 なお、寸劇の後は司法書士による無料相談会が開催されました。 (成年後見対策委員会)  →上へ

 世界遺産「石見銀山」 銀山街道に埋もれた悲話、銀銅搬送の苦役に苦しむ農民の愁訴

 石見銀山(島根県)が世界遺産に登録されたのは2007年であるが、その廃坑が観光で脚光を浴びる反面、ここで採れた銀を江戸へ運ぶ街道筋の村々に あったであろう農民の愁苦の歴史はあまり知られていない。『涙垰(ナミダタオ) 〜赤名・布野石見銀銅助郷公事〜』は、中国山地越えの赤名峠にまつわる史実を
基にした作家戸塚らばおの時代小説である。
 「江戸時代・出雲国 大森の銀山で産出された銀銅は、赤名・三次を経て尾道へ、そして海路 大坂へ運ばれていた。その輸送は幕府御用をもって沿道の村々に助郷の出夫が命じられ、赤名もそのひとつであった。積年の過重負担に耐えかねた赤名宿21ヵ村は、庄屋 半兵衛を中心に輸送経路の短縮を求めて、江戸訴願に向け敢然と立ち上がる。しかし、待っていたのは煩雑な手続きと巨額な賄賂。そして気の遠くなるような時間だけが流れて行った。」と帯に書かれて いるように、虐げられた農民のお上に対する訴えの哀しい顛末紀だ。
 小説のなかに出てくる「公事師」「公事宿」は、司法書士の源流とも言われる職業だけに、我々にとっては馴染み深いものだが、この小説のなかではあくまでも主人公ではなく脇役として出てくる公事師だ。 いくつかの当時の公事を扱った川柳も取り上げられ、しかも江戸での長きに亘る訴訟
のなかでの公事師の役割がかなり仔細に描かれていておもしろい。官と民との間を取り持つ公事師が、煩雑な手続きゆえに官への賄賂とともにその賄賂の取り持ちをもしていた構図があらわになっている。 公事自身もその賄賂で潤っていたふしがうかがえる。
 さて、物語としては農民のお上への苦役軽減の訴願に過ぎないにもかかわらず、役人たちがしきたりを変えることには消極的で、今で言う行政訴訟も、結局のところ民事訴訟として民対民の争い事に転嫁し、 なおかつ内済熟談(和解・示談)でお上の責任を免れる方向に誘導し、裁決を嫌うようだった。
 司法と行政が未分化な時代を今の時代に直截に当てはめるわけにはいかないが、現代の現実を髣髴させる。雑多な市民の要望への官の市民に対する無作為・不作為の最大の武器は市民を分断して相戦わせることだが、 この時代には行政訴訟そのものがそういう仕組みなっていたようだ。一般的に日本人は訴訟を嫌うと言われるが、この頃からの重い歴史を積み重ねての厭戦気分の結果なのかもしれない。
 今、各地で古道ブームとも呼べる古道歩きが流行しているが、小説の現場赤名峠に限らず、各地の街道では、当時近在の農民まで呼び寄せられて農民の苦役としてその街道整備がなされてきた。 現在では人影もまばらな山道として残っている古道も、このような農民によって整備されてきた往古を偲ぶことなくハイキングしていてはいけないのだろう。人知れない苦難の歴史がそこにはあったはずだ。
 はじめは合法的な訴願活動として開始されても、権力が農民の悲哀を一顧だにせず変革しようとしないならば必然的に暴力的な行為に走らざるをえないと、この小説が訴えているわけではないが、 しかしいかように訴えても農民の心情を汲み取れない官に対しては行為が過激にならざるをえないと読む者をして得心させる説得力のある小説であるように思える。
 国策に対してはどんな戦い方をしても、死者が出ようと、訴訟を起こそうと、結局は国には勝てない。今、原発事故を教訓として各地に反原発・脱原発運動が盛り上がっている。 しかし、今に始まったことではなく、原発立地を巡っての反原発訴訟はかつてより何十件も提起されてきているが、司法当局が国策を変更する判決を出したことはない。 司法と行政の分立など今の時代でもご都合主義による絵空事でしかないが、江戸時代の農民悲話とどれほどの違いがあろうか。この小説を読むと、つくづく官憲の有様は変わってないのでは思うのである。 是非ご一読を。(八王子支部 藤田耕三)
『涙垰(ナミダタオ)〜赤名・布野石見銀銅助郷公事〜』  菁文社刊 1600円上へ